はじめに──Blendで“成長の物語”を映像に
前回、SoraのRemix機能を使って「子チーターがトレッドミルで走る」という、ちょっとシュールな映像を作りました。
背景をまさかのサバンナに変更し、子チーターの健気な努力が妙にリアルで可笑しく、見る人の心をつかむ映像になったと思います。
今回はそこからもう一歩踏み込んで、「成長の物語」をテーマにした連続映像を作成しました。主役は引き続きチーター。SoraのBlend機能を使って、「子チーターの練習風景」から「大人チーターの実戦シーン」へと、映像を滑らかにつないでみました。
子チーターの練習風景──構図と向きを整えた新バージョン
前回の動画では、チーターが左向きに歩いていたのですが、今回は「後の映像と自然につなげる」ことを前提に、右向きに歩く子チーターの映像を作成しました。トレッドミルの上で歩いている様子はそのままに、カメラが徐々にパンしていきます。
▶️ 子チーターの映像(5秒):
背景のサバンナには、遠くにガゼルの群れがぼんやりと描写されています。これによって、「チーターが何かを目指して走っている」ような意味が自然と生まれ、物語の“伏線”として機能しています。
大人チーターの実戦疾走──成長の先にあるスピードと意思
以下は、この映像を生成するために使用した英文プロンプトと日本語訳です。
An adult cheetah sprinting at full speed across the African savannah. The cheetah runs from the left side of the screen to the right in a side-profile view. Midway through the scene, it turns left and begins running toward the background, into the distance, heading for a distant herd of gazelles. The gazelles, visible near the horizon, start to scatter as the cheetah approaches. The savannah is sunlit, with golden grass and a few acacia trees. Dust kicks up under the cheetah’s paws as it runs. Realistic animation, cinematic depth of field, dynamic camera angle. Duration: 5 seconds.
日本語訳を表示
アフリカのサバンナを、大人のチーターが全速力で駆け抜ける。チーターは画面の左側から右側へ、横向きの構図で走っていく。シーンの途中で左に曲がり、画面奥へと走り出し、遠くに見えるガゼルの群れを目指す。地平線付近にいるガゼルたちは、チーターの接近に気付き、散り始める。サバンナは日差しに照らされ、金色の草原といくつかのアカシアの木が広がっている。チーターの足元には埃が舞い上がる。リアルなアニメーション、シネマティックな被写界深度、動きのあるカメラアングル。尺は5秒。
後半の映像は、新たに制作した大人チーターの疾走シーンです。子チーターの歩く方向と同じく、画面左から右へ全速力で走り出し、途中で左折して画面奥へ──ガゼルの群れに向かって突っ込んでいくような構成になっています。
特に工夫した点は、
- 🌍 チーターが画面左から右へ走る構図を維持し、前半の子チーターの動きと自然に繋がるようにしたこと
- 🌾 シーンの途中でチーターが左に曲がって画面奥へ走り出す動きにより、奥行きとストーリー性を加えたこと
- 🌾 サバンナの明るい日差し、金色の草原、舞い上がる埃などにより、映像にリアリティと臨場感を持たせたこと
これによって、静と動、練習と実戦、希望と行動といったテーマが視覚的に立ち上がるように構成しました。
▶️ 大人チーターの映像(5秒):
SoraのBlend機能とは?
SoraのBlend機能は、2つの動画を滑らかに“つなぐ”ことができる機能です。トランジション(画面の切り替え効果)を自然に挿入しながら、動き・構図・視線などが似ていれば似ているほど、違和感のない変化が可能になります。
今回のように「同じキャラクターが別のシーンへ移行する」映像には、非常に相性が良い機能です。
Blend動画の完成とその狙い
完成したBlend動画は、「子チーターがトレッドミルで練習」→「トレッドミルが画面から消える」→「チーターが成長し、サバンナを駆けてガゼルを追いかける」という一連の流れを、5秒+5秒の短い時間の中でしっかり表現しています。
Transition(変化点)を挿入した理由は、ただ見た目をなめらかにするためだけではありません。「トレッドミルからサバンナの地面へ」「子どもの体から大人の体へ」という変化を描くことで、時間の経過や成長の物語を映像で“語らせる”ためです。
Blendがあるからこそ、言葉ではなく映像そのものが語ってくれる、そんな体験ができました。
おわりに
生成AIで映像を作るという行為は、最初は「素材づくり」にとどまりがちです。しかし、複数の映像をつなぎ、意味のある流れを作ることで、それは“作品”へと昇華します。
今回のチーター映像は、まさにその一歩だったと感じています。次は、さらに複雑なストーリー構成にも挑戦してみたいですね。