AIを使ってしたい100のこと

生成AIの可能性と、それを使って自分自身を表現する楽しさを伝えることを目指しています。

「ドローンで空を飛ぶカメ」をSoraでつなげてみたら、やりたいことが見えてきた話

🐢 1. はじまりは、飛べないカメのイメージから

「ドローンで空を飛ぶカメって、なんか面白そうじゃないですか?」

そんな思いつきから、AI映像生成ツール Sora を立ち上げて、プロンプトをあれこれ試し始めました。

最初は、単発の映像を作るつもりだったんです。 「これ、つないだらもっと見えてくるんじゃないか?」──そんな直感が芽生え、夢中で映像を見返し、つないでみたくなったのです。


🎬 2. 試して、悩んで、驚いて──映像が語り始めるまで

最初にSoraで生成された映像は、いずれも単体では「惜しい」クオリティでした。 ですが、それらを並べて見たとき、はっきりと“流れ”が見えはじめたのです。

順にご紹介します。

▶️ シーン①:ホバリングに挑戦するも失敗

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カメがプロペラを装着して飛び立とうとするが、うまく浮かびきれず落下してしまう。

成功の前に必ず訪れる「失敗」。この映像が物語の始まりに。そしてここで、「誰だって頑張ればできる」というテーマが、うっすらと見えはじめた気がします。


▶️ シーン②:ついに空中へ!

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前回失敗したカメが、今回はしっかりと浮上し、空中に留まる。

仲間の背中越しに、ドローンを装着したカメがふわりと浮かび上がる。その構図からは、「期待を背負って飛ぶ」「仲間を足場にして飛び立つ」といった多様な解釈が生まれる。


▶️ シーン③:そばで見守る仲間の存在

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飛び立とうとするカメの近くに、別のカメがじっと佇んでいる。

無言の応援。カメの友情(?)を感じるワンカット。


▶️ シーン④:旅立ちのラストシーン

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カメが空高く飛び上がり、夕焼けの空に消えていく。

ストーリーのクライマックス。カメが静かに、そして勇敢に旅立っていくその姿は、幻想的でどこか神秘的だった。


単体では荒削りだったこれらのカットが、順に並べることで挑戦、成長、旅立ちの物語のように見えてくる。 それは意図していたものではありませんが、“つなぐ”ことで意味が生まれるという映像編集の本質的な面白さを、ここで実感しました。


🎥 完成動画(つないだ映像)はこちら: 動画リンク

🧩 3. Soraで映像をつなぐと見えてくること

今回の試行で、もっとも大きな発見だったのは、つなぐことで映像が変わるということでした。

ひとつひとつの動画は、クオリティとしては「ラフスケッチ」の域を出ないものばかり。 でも、それらをストーリーボードに並べてみることで、まるでプリヴィズ(プリビジュアライゼーション)のような映像体験が立ち上がってきたのです。

  • この流れだと、もっと間に「飛ぶ前の躊躇」がほしいな
  • 光の演出が強すぎるから、ラストではなく途中にしたほうがいいかも
  • 同じ構図が続くと間が持たない

といった、“やりたいこと”の調整ポイントが自然と見えてくる。

映像をつなぐ行為は、頭の中の構想を可視化するプロセスそのものでした。

そしてなにより、不完全でも「伝わる」ことの強さに気づきました。 表現として完成していなくても、「このカメは成長して空へ旅立っていく」という印象が伝わるなら、それは十分に成功と言えるのかもしれません。


✨ 4. おまけ:後日談としての“ふわふわカメ”

今回のストーリーには直接関係しないのですが、制作途中でこんなカットも生まれていました。

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ドローンを使わず、ふわふわと空を漂うカメの姿。

「もしかして、見守っていた仲間のカメが、自力で飛べるようになったのかもしれない…」 そんな後日談的な展開を想像させる一作でした。

今回はあえて本編には含めませんでしたが、このような“使われなかったカット”が新たなストーリーの種になるかもしれないと思うと、それもまたSoraを使った創作の魅力だと感じます。


📌 使用プロンプト(一例)

a turtle with a drone on its back, gently hovering above a quiet Japanese garden, cinematic, soft lighting

この基本プロンプトをベースに、

  • 仲間
  • 夕焼け
  • 光の演出

などの要素を少しずつ加えて、RemixやBlendを活用しながらシーンの幅を広げました。


📘 5. まとめ:つなぐことで物語は動き出す

Soraは、静止画や短い動画を生成するだけでなく、それらをつなぐことで新しい意味を生み出すツールでもあります。

今回のように、個々の映像のクオリティが必ずしも高くなくても、意図や流れがあることで「伝わる映像」になることを体験できたのは、大きな驚きでした。

そして、ただの遊び心から始めた「飛べないカメ」のアイディアが、編集と構成を通じてひとつの“物語”として立ち上がっていったこと。 これは生成AIとの共創によって生まれた、思いがけない創作体験でした。

完成していなくてもいい。つないでみれば、何かが見えてくる。

Soraは、そんな“次の一歩”を後押ししてくれるパートナーかもしれません。