はじめに
この記事では、生成AIとの対話を通じて得た経験を共有します。具体的には、「年末までの残り営業日の日数」を調べるというタスクをCopilotとGoogle Geminiに依頼し、その結果を比較します。
Copilotとの対話
まずはCopilotに「現在から今年の年末までの残り営業日の日数を教えてください」と尋ねました。しかし、Copilotの回答は以下の通りでした。
申し訳ありませんが、私の情報は2021年までのものであり、現在の日付や営業日数を直接計算する機能はありません。ただし、インターネット上には2024年の営業日カレンダーが提供されているサイトがあります。これらのリソースを利用して、現在から年末までの残りの営業日数を手動で計算することが可能です。ご自身で計算する際には、祝日や会社の休業日を考慮に入れることをお忘れなく。ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。よろしくお願いいたします。
Google Geminiとの対話
次に、Google Geminiに同じ質問をしたところ、以下のような詳細な回答を得ることができました。
2024年12月31日までの営業日数を計算するには、以下の情報が必要です。
- 基準となる平日: 土曜日と日曜日を除いた平日を基準とします。
- 祝日の扱い: 国民の祝日は、営業日としてカウントするか、除外するかを選択します。
以下の2つのパターンで回答します。
パターン1:国民の祝日は営業日としてカウントする場合
この場合、2024年6月10日から12月31日までの営業日数は、129日間となります。
計算式は以下の通りです。
= NETWORKDAYS(開始日, 終了日) = NETWORKDAYS(2024/06/10, 2024/12/31) = 129
パターン2:国民の祝日は営業日としてカウントしない場合
この場合、2024年6月10日から12月31日までの営業日数は、124日間となります。
計算式は以下の通りです。
= NETWORKDAYS(開始日, 終了日, [休日リスト]) = NETWORKDAYS(2024/06/10, 2024/12/31, {"2024/09/23", "2024/10/14", "2024/11/03", "2024/11/23"}) = 124
ご参考情報
- 営業日数計算ツール:https://keisan.casio.jp/
- 祝日一覧:https://groww.in/p/nse-holidays
上記の情報に加え、ご自身の会社の休業日等があれば、更に正確な営業日数を計算することができます。
Geminiの回答の評価
Geminiの回答した年末までの残り営業日数は、125日です。ざっと頭で計算した場合、月の営業日が20日程度と考え、7~12月の6カ月で120日。しかし、6月はまだ残りが15日ほどあるはずです。120+15=135日。これから残り半年で祝日が10日もあるんでしょうか?何かおかしいような、しかし正しいような気もします。
営業日数計算ツール
営業日数計算ツールを使って、営業日数を確認しました。
2024年6月10日~2024年12月31日の間で、初日を含めた場合、営業日数は141日でした。つまり、Geminiの示した125日は間違っているということです。
祝日一覧
Geminiの挙げた祝日一覧は、インドのNSE(国立証券取引所)の物でした。そもそも引用元の情報が間違っていました。
正しい日本の祝日一覧を国民の祝日について - 内閣府で確認しました。
以下が令和6年(2024年)の国民の祝日・休日の一覧表です:
名称 | 日付 | 備考 |
---|---|---|
元日 | 1月1日 | |
成人の日 | 1月8日 | |
建国記念の日 | 2月11日 | |
休日 | 2月12日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
天皇誕生日 | 2月23日 | |
春分の日 | 3月20日 | |
昭和の日 | 4月29日 | |
憲法記念日 | 5月3日 | |
みどりの日 | 5月4日 | |
こどもの日 | 5月5日 | |
休日 | 5月6日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
海の日 | 7月15日 | |
山の日 | 8月11日 | |
休日 | 8月12日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
敬老の日 | 9月16日 | |
秋分の日 | 9月22日 | |
休日 | 9月23日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
スポーツの日 | 10月14日 | |
文化の日 | 11月3日 | |
休日 | 11月4日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
勤労感謝の日 | 11月23日 |
つまり、6月10日以降では、国民の祝日は10日あります。
NETWORKDAYSで検算する
Geminiの示したNETWORKDAYS関数を使い、自分で営業日の数を計算しました。
Geminiの示した計算結果はこちらですが、これは誤っていました。
= NETWORKDAYS(開始日, 終了日, [休日リスト]) = NETWORKDAYS(2024/06/10, 2024/12/31, {"2024/09/23", "2024/10/14", "2024/11/03", "2024/11/23"}) = 124
GoogleスプレッドシートやExcelでは、日付を別のセルに書いて、セル参照でNETWORKDAYS関数を使ったほうが簡単のようです。
= NETWORKDAYS(開始日, 終了日, [休日リスト]) = NETWORKDAYS(B1,B2,B17:B26) = 141
NETWORKDAYS関数を使った結果も141日となり、正しい年末までの残り営業日数は、141日ということが分かりました。
やってみた感想
- 思わずGoogle Geminiを利用開始してしまいました。ChromeではすでにGoogleアカウントにログインしているので、Geminiを始めるのは簡単でした。
- Copilotの回答と比較して、Geminiは自分での計算の仕方の案内もあり、良い回答だと思いました。
- しかし結局、Geminiの出した結果も誤りだと分かりました。
- 辛うじてGeminiは導出過程も示していたので、自分で検算することができました。これはいい機能だと思いました。
- Geminiの回答には誤りがまだ多いという印象を持ちました。
- 生成AIの回答は、一見正しいように見える場合でも、しっかり間違っていることがあるため、注意が必要ですね。