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生成AI「Sora」で作るYouTubeバナー画像の制作記録 ― VRゴーグルとオーロラで描く世界観 ―

はじめに

本記事では、生成AIツール「Sora」を使ってYouTubeチャンネル用バナー画像を制作した過程を紹介します。VRゴーグルやオーロラをモチーフに、構想から完成までのステップを順に追いながら、どのようにデザインを仕上げたかをまとめました。

1. バナー制作の基本設計

まずは生成AI Soraを用いて、バナーのベースとなる静止画を作成します。YouTubeチャンネルのバナー画像は、テレビ表示を意識して16:9の比率で制作するのが推奨されています。そのため、最初からこのアスペクト比で構図を設計することが重要です。

プロンプトの工夫や生成時の注意点については後述しますが、まずは構図や世界観の大枠を固めるところからスタートしました。

2. VRゴーグルで世界観を構築する

近未来的な世界観を持つ小説『ニューロマンサー』に着想を得て、現代的かつ未来感のあるモチーフとしてVRゴーグルを描くことにしました。実際には、主人公ケイスは体に直接インタフェースを接続するためVRゴーグルを使う描写はありませんが、そのイメージを視覚的に再構築しています。

最初に作成したバージョンはこちら。悪くはないものの、きれいな挿絵という印象で、登場人物や背景に物語が感じられず、作品としての奥行きに欠けていました。

リアリティが足りない印象の初期バージョン

その後、使用感やバイザーへの反射などを追加し、照明を調整したことで、映画の小道具のようなリアル感を持たせることに成功しました。

使用感を追加し温かみのある雰囲気にしたバージョン

擦り傷、レンズの汚れ、色褪せ、埃などのディテールを加えることで、落ち着いた印象とおしゃれな雰囲気を演出しています。

使用したプロンプトを表示

A cinematic cyberpunk still inspired by the world of "Neuromancer". A close-up, low-angle view of a weathered VR headset, shaped like sleek futuristic sunglasses, resting quietly on a glowing console. The device bears the gentle scars of use — soft scratches, smudged lenses, and the fading touch of countless hands. Reflected faintly in the visor are ceiling lights from the real world and the dim echo of something not quite gone — a fragment of a virtual horizon, like a dream slipping away at dawn. The air is thick with stillness, and dust drifts lazily through neon-shadowed light. Everything is quiet now, except the shimmer of a world that may or may not have existed. The boundary between what was seen and what is real feels blurred, like breath on glass. No faces, no hands. Just the echo of presence, left behind. 16:9 aspect ratio. Lighting is soft, melancholic, and slow, like memory.

3. オーロラという「輝く壁」を描く

「輝く壁を貫いて」というチャンネル名から着想し、チャンネルの象徴として「輝く壁」をビジュアルに取り入れたいと考えました。自然界で最も輝きと幻想性を併せ持つ現象であるオーロラをその象徴とし、モチーフに選びました。

ただのオーロラではなく、バーチャル空間に存在するようなデジタル感を表現するため、低解像度のピクセル表現を用い、1990年代のゲーム機『バーチャルボーイ』のようなレトロなビジュアルを目指しました。

まずはオーロラ単体のビジュアルを作成し、その後、ChatGPTの助言を受けて廃墟を加えることで、より深みのある背景を作り出しました。

低ビットで描かれたデジタルのオーロラ

デジタルのオーロラと廃墟

さらに、オーロラをVRゴーグルのバイザー内ディスプレイに反映させることで、仮想と現実が交差するような描写を試みました。この時点では、VRというよりもARゴーグルに近いイメージとなり、内部のガラスに映像が映り、外部からもそれが確認できるという設定にしています。

デジタルのオーロラをバイザー内に描写したバージョン

使用したプロンプトを表示

A cinematic cyberpunk still inspired by the world of "Neuromancer". A close-up, low-angle view of a weathered VR headset, shaped like sleek futuristic sunglasses, resting quietly on a glowing console. The device bears the gentle scars of use — soft scratches, smudged lenses, and the fading touch of countless hands. Spanning the entire inner surface of the visor, a synthetic aurora glows in slow motion — pulsing waves of pale green and deep red light, rendered with a hazy, imprecise texture like a corrupted memory file. Reflected faintly in the visor are ceiling lights from the real world and the dim echo of something not quite gone — a fragment of a virtual horizon, like a dream slipping away at dawn. The air is thick with stillness, and dust drifts lazily through neon-shadowed light. Everything is quiet now, except the shimmer of a world that may or may not have existed. The boundary between what was seen and what is real feels blurred, like breath on glass. No faces, no hands. Just the echo of presence, left behind. 16:9 aspect ratio. Lighting is soft, melancholic, and slow, like memory.

4. タイトルを重ねてバナーを仕上げる

複数のビジュアル素材が整ったところで、Microsoft Designerを使ってタイトル文字を重ね、バナー候補を作成しました。

オーロラ、廃墟、ゴーグルといった各要素を活かしながら、全体の構成と文字配置のバランスを意識してデザインを調整しています。最終的に、案1〜案7まで複数の候補を制作しました。

案1

当初、最も気に入っていたデザインがこちらです。一度これで完成としましたが、バナー画像がチャンネルアイコンのクールな印象とやや異なるモダンな雰囲気だったため、統一感を重視して他の案も検討することにしました。質感は高く、文庫本のカバーのような風合いが特徴です。

案1

案2

オーロラを描きこんだバージョンの一つです。全体的に描写が鮮明で、情報量と視認性のバランスが取れている点が案1より優れており、完成度の高さが印象的でした。

案2

案3

汚れを減らすことで、より洗練された印象を目指したバージョンです。ゴーグルの輪郭がくっきりと浮かび上がり、視覚的にもすっきりとした仕上がりになっています。清潔感のある美しさが際立ちます。

案3

案4

文字と重なる部分があるものの、背景のオーロラ描写が非常に自然で美しく、ナチュラルな雰囲気が魅力です。バナー全体に穏やかな印象を与えるデザインです。

案4

案5

案5

低ビットで描いていたオーロラを、高解像度かつ抽象的に再構成したバージョンです。オーロラであるとは一見わからないものの、ビジュアルとしての完成度が高く、クールな配色がチャンネルのイメージにも合致しています。

案6

ChatGPTの提案をもとに、オーロラに廃墟を組み合わせた構図です。まるで小説の表紙のような仕上がりで、物語性を感じさせるビジュアルです。落ち着いたトーンと静謐な空気感が魅力です。

案6

案7

オーロラを描いた一枚の画像で構成されたシンプルな案です。描写のざらつきは意図的に残しており、抽象的で思索的な印象を与えます。派手さはないものの、ハードカバーの書籍のような深みと佇まいがあります。

案7

5. 最終選考と完成版の決定

質の高い候補が多く、どれを採用するか非常に迷いました。大きく分けると、静かで落ち着きのあるものと、リアルさは控えめでも視覚的に鮮やかなものという傾向に分かれます。

最終的には、バナーとして必要な「見やすさ」「ぱっと見のインパクト」「ポップさ」を重視し、クールで洗練された印象の案5を採用しました。

最終バージョン:文字を調整し、映画のような見た目に

この案はオーロラの描写に若干の課題が残るものの、全体としてのビジュアルの完成度が高く、映画『ミッション・インポッシブル』のワンシーンのような印象を与えることができたため、非常に満足しています。

おわりに

生成AI Soraを使うことで、バナー制作においても高い表現力と多様なビジュアルスタイルを実現できることを実感しました。

特に、汚れや使用感といったディテールの調整、照明による雰囲気のコントロールが想像以上に自在であることに驚かされました。

素人であっても、工夫と試行錯誤を重ねることで、プロフェッショナルのようなリアリティのある画像を生み出すことができると感じています。